非常用自家発電設備とは、停電などにより電力会社からの電力供給が途絶えたとき、予備電源として稼働させる自家発電設備のことです。
非常時に「防災設備」「保安設備」など重要な設備へ電気を供給する目的で設置されます。例えば、大型スーパーなど不特定多数の人が集まる場所や、病院など医療サービスを提供する施設では、災害時などに電気を供給できる設備として設置されています。
もし、非常用自家発電設備が稼働しないとどうなる?
東日本大震災において震度6以上の地域に設置されていた防災用自家発電設備のうち「メンテナンス不良による不始動・停止」が23台もありました。
引用:総務省消防庁「自家発電設備の点検要領の改正等について」
このような有事の際に自家発電設備が作動しないと、どうなるか想像できますか?
以下のようなケースが考えられます。
- ■消火活動ができない
- 自家発電設備が稼働しない事で「スプリンクラー」「消火栓ポンプ」など消火活動に必要な設備が作動しない
- ■重要な保安設備が停止する
- 自家発電設備が稼働しない事で「医療機器」「非常用照明」「排煙設備」などの保安設備が停止する
地震や火災などの災害で停電が起きたとき防災設備が停止すると、迅速な消火活動ができずに被害が拡大し「救える命を救うことができない」という事態につながります。
病院や老人ホームなどは非常用発電設備により停電時に命に関わる医療機器やシステムが突然停止することを防いでいますから、非常用発電設備が稼働しない事で医療サービスが継続できず人命に直結する事態となります。
また、照明が途絶えたり、排煙設備や非常用エレベーターが作動しなくなることで「避難ができず命をおとす」という事態が起こる可能性もあります。
上記のように、非常用自家発電設備が稼働せず、人命に関わる事態を引き起こす事は絶対に避けなければなりません。
そのため一定の条件を満たす建物には、法律により非常用発電機の設置が義務付けられ「停電になって使えない」ということが起こらないようにしていますから、いつ何が起きても非常用自家発電設備が正常に稼働するように、保全のための点検や交換は忘れずにおこなっていく必要があります。
予防保全が大切
保全が必要な事はわかっていても「いつ」「何をしたらいいのか」とわからない方も多いと思います。
保全方法には、事後保全と予防保全がありますが、大切なことは故障の発生を未然に防ぐために予防保全を行うことです。
何かトラブルや故障が起きた状態から保全する事後保全では、いつ起こるかわからない災害を考えると十分な対応ではありませんよね。
予防保全をおこなうためにも、定期的な点検をおこない部品の状態や交換が必要な時期を把握しておく必要があります。